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加速が求められる若年性認知症へのサポート~就労継続など社会参加支援がカギ~

加速が求められる若年性認知症へのサポート~就労継続など社会参加支援がカギ~

若年性ならではの課題はどこにあるのか?

 団塊世代が全員75歳以上となる2025年には、高齢者の5人に1人(約700万人)が認知症有病者となる──国が示しているこの推計について、恐らく誰もが一度は見聞きしたことがあると思われる。ここでいう「高齢者」とは、65歳以上の人を指す。だが、実際は65歳未満の人でも認知症になるケースがあり、これを若年性認知症という。2006年、この若年性認知症をテーマとした映画「明日の記憶」(主演・渡辺謙)が大きな社会的反響を巻き起こしたことを覚えている人もいるだろう。
 若年性認知症は、あくまで年齢区分による名称であり、具体的な原因疾患はアルツハイマー型や脳血管性、レビー小体症など高齢期の認知症とほぼ変わらない。特有の問題としては、患者の中には40代、50代の人もいて、世帯家計を支える就業者であったり、まだ子供を扶養しなければならないケースもあるという点だ。もちろん、40歳以上であれば介護保険の対象(40~64歳は2号被保険者)だが、本人の就労継続や世帯家計を支えるといった意向も強い中、社会的に多様なサポートが必要となる点が大きな特徴といえる。

就労継続や社会参加を進める施策とは?

 厚生労働省(以下、厚労省)は、「若年性認知症ハンドブック 若年性認知症と診断された本人と家族が知っておきたいこと」と題したハンドブックを出している。たとえば、先の就労継続の意向については以下のようなアドバイスを掲載している。意外と知られていないことだが、認知症と診断されて一定の精神症状(混乱や不穏状態など)を示すことが認定されると「精神障害者保健福祉手帳」が取得できる。また、脳血管性やレビー小体症の場合、身体機能にも影響がおよぶことがあるが、これも認定されると「身体障害者手帳」の取得が可能となる。これらの手帳が取得できると、それまで就労している会社において、企業の障害者雇用枠で働き続けることもできる。
 もっとも、認知症と診断された時点で本人が自主退職してしまうケースも多い。アルツハイマー型などの場合、病状の進行によって「社会生活上の困難さ」が増えてくると、改めて仕事に就くことも難しくなる。家計的には障害年金の受給などにつなげることが必要だが、本人の社会参加の意向をサポートすることで、生活意欲の減退や混乱・不安などを押さえることも大切だ。これが家族の介護負担などを軽減することにもつながってくる。
 この点について、厚労省が示しているのが、介護サービス事業所における社会参加型メニューの好事例である。たとえば、介護保険サービスの提供時間中に、(事業所スタッフのサポートを受けつつ)公園の清掃活動等の地域活動や外部の企業と連携して洗車等の有償ボランティア活動を行うというもの。介護保険のデイサービスといえば、事業所内で過ごすのが原則だが、「サービス計画にのっとって行われる事業所外活動ならばOK」という厚労省からの指針も2018年7月に示されている。
 ちなみに、介護保険の報酬では、若年性認知症の人の受入れに一定以上の実績がある事業所に対して報酬上の上乗せが行われるしくみがある。2018年度改定では、このしくみが適用されるサービスの範囲も拡大している。
 国の調査では、若年性認知症の患者数は約3万8,000人(ただし、2009年当時の数字であり、専門支援機関につながっていない潜在的な患者数を含めれば患者数は大きく膨らむという指摘もある)といわれるが、国によるさらなるサポートの加速が求められている。


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.12.13
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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