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介護離職ゼロのために企業ができること

介護離職ゼロのために企業ができること

年間約10万人が介護離職

 介護離職が社会問題となっている。政府も2020年代初頭までに家族の介護を理由とした離職の防止等を図るべく「介護離職ゼロ」を推進していくこととしており、必要な介護サービスの確保と、働く環境改善・家族支援を両輪として取り組んでいるところである。
 実際に就業しながら介護を続けている従業員も増えてきているが、中小企業ではまだ事例が少ないため、どのように対応していいかわからない企業も多い。
 総務省の「平成29年就業構造基本調査結果の概要」によると、「過去1年間に『介護・看護のため』に前職を離職した者は9万9千人とほぼ横ばい」であり、現在、介護離職者は年間10万人程度で推移している。しかし、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、要介護者が爆発的に増えることが予想されることから、このままでは介護離職者が増えることになり問題は深刻である。
 例えば厚生労働省では、介護を担う人々に向けて「介護離職ゼロ ポータルサイト」という情報提供サイトを開設しているので、経営者・人事担当者はもとより従業員にも周知しておきたいところである。

介護との両立支援体制や職場環境づくりが重要

 介護に関する制度については関係する法律は多数ある。代表的なところは、介護保険法、育児・介護休業法、雇用保険法などがあるが、内容は複雑であり、それぞれ整理しておくためにも上記のポータルサイトは活用する価値がある。
 しかしながら、法律や制度だけで仕事と介護を両立させるのは難しい。そこで両立させるためのヒントとなる調査結果があるので簡単に紹介しておきたい。平成21年度厚生労働省委託調査「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査結果」(みずほ情報総研(株))によると、回答者を以下の3つのグループ(G)に分類し、
 
①家族の介護を始めて以降、仕事を辞めたことがない者(在職者G-継続組)
②家族の介護をきっかけとしておおむね過去5年以内に仕事を辞め、現在は仕事に就いている者(在職者G-転職組)
③家族の介護をきっかけとしておおむね過去5年以内に仕事辞め、現在は仕事に就いていない者(離職者G)

それぞれに、仕事と介護を両立するためにどのような働き方をしているか(働き方をしていたか)を尋ねたところ、「当てはまるものがない」以外で最も多かった回答は、「残業をまったくしていない/短くしている」であった。確かにそうできれば理想的だが、中小企業の場合、限られた人員で業務をこなさなければならず、誰もが真似できる働き方ではない。回答数が多かった働き方は下表のとおりなので、この中から参考になるものを探してほしい。

 

仕事と介護の両立ためにしている働き方(複数回答)
働き方 在職者G 離職者G
継続組 転職組
残業をまったくしていない/短くしている 20.9% 36.6% 22.9%
深夜業(午後10時~午前5時)をまったくしていない/短くしている 10.3% 17.7% 10.4%
1日の所定労働時間を短くしている(短時間勤務) 5.7% 19.6% 12.6%
1週または1ヶ月の所定労働日数を短くしている(短日勤務) 4.9% 19.3% 11.4%
介護を目的とした、年次有給休暇・積立休暇・1日単位の介護休暇を取得している 11.7% 5.7% 13.8%
10%以上の回答があったものを掲載。その他の回答として「決められた出社・退社時刻があるが、これを繰上げ・繰下げしている」「一定の範囲において出社・退社時刻を自分自身で自由に決めている(フレックスタイム)」「自分自身で出社・退社時刻を自由に決めている(裁量労働)」「在宅勤務をしている」などがある。

介護離職の経済損失は6,500億円?

 いざ介護が始まると介護者の精神的及び肉体的な負担も大きく、会社を休むことが多くなると会社に貢献できなくなることを申し訳ないと思い、周囲に迷惑をかけたくないという思いも重なり退職の決断をしてしまうことが多い。企業は介護離職を防ぐために介護支援に前向きであることを表明したり、法律で定められた介護休業や介護休暇制度よりも手厚くしたり、介護に関する社内研修を行ったりして社内全体で介護への理解を深め、貴重な人材が流出するのを防ぎたい。
 先日、経済産業省から「介護離職に伴う経済全体の付加価値損失は約6500億円と見込まれる」という試算が発表されたばかりだが、介護離職者は収入面で生活に支障が出て、企業は人材流出の損害で生産性が下がり、日本の経済活動全体で考えてもかなり深刻な状況である。企業においては、自社も介護離職で損害を被るリスクがあるということを自覚し、早めに対策に着手しておきたい。

参照:厚生労働省 介護離職ゼロ ポータルサイト


(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長)
2018.11.19
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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