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国民皆保険の維持に向けて ~平成29年度健保組合決算見込の概要~

国民皆保険の維持に向けて ~平成29年度健保組合決算見込の概要~
 9月25日に健康保険組合連合会では「平成29年度健保組合決算見込の概要」を発表しています。公費助成がほとんどない組合健保の決算は、近年毎回厳しいものになっていますが、その内容からさまざまな課題が見えてきます。

決算見込の主な集計結果 (参考データを参照)

・保険料収入は2,368億円(+3.02%)増加、平均保険料率は9.167%と連年上昇
・経常支出は3,405億円(+4.41%)増加、うち拠出金額が2,446億円(+7.45%)の大幅増加
(総額・1人当たり額は過去最大で義務的経費に占める拠出金負担割合は47.35%)
・赤字組合は580組合で全体の41.6%、年間12組合が解散
※拠出金額:後期高齢者支援金等と前期高齢者納付金・退職者給付拠出金等の合計額
※義務的経費:加入者医療分の法定給付費と上記の高齢者医療への拠出金等が対象

課題の内容とその原因

 短時間労働者等の加入により被保険者数が増加したものの1人当たり平均報酬月額は減少しており、保険料の増収は料率等の引き上げによる効果が大きいものと思われます。この10年間で1人当たりの年間負担額は10万5,960円増加しています。
 問題は収入増を上回る拠出金負担の増加で、この10年間で1人当たりの拠出金負担額は6万6,331円も増加(約1.5倍)している事実です。全面総報酬割に移行した後期高齢者支援金の増大(+9.1%)を中心に、前期高齢者納付金の負担増(+6.34%)もその要因です。
 制度の維持のために保険料率が10%(協会けんぽ)以上となる組合は22.5%にのぼり、対応の限界にきていることが察せます。当然、今後もこの中から解散に追い込まれる組合が出てくることは容易に推測できます。
 加えて、介護保険の介護納付金も段階的な総報酬割の導入により大幅増加(+11.7%)しており、介護保険料率の更なる引き上げも必要になってくるでしょう。

他制度の状況と支援金・納付金の行方

 一部国庫補助等のある「協会けんぽ」の平成29年度決算見込みも類似した傾向にあり、支出の4割が高齢者医療に係る拠出金等となっています。ただし、標準報酬月額の上限引き上げは保険料増収に寄与しており、後期高齢者支援金の全面総報酬割移行による支援額の伸びの抑制効果(組合健保に比べ賃金水準が低い)も大きく働いています。
 後期高齢者支援金は文字通り当該制度の給付の4割を担い、前期高齢者納付金は「国民健康保険(国保)」の当該対象者の給付分として各制度同じ割合分を負担します。国保は高齢者が多く低所得の保険料負担者で多額の給付を賄えず、保険料(当該財源の2割程度)の他にこの納付金と公費(国・都道府県・市町村)投入で成り立っている訳です。そのため負担の仕組みは複雑でわかり難く、各制度・保険者間の公平性も課題となっています。

消費税取込みと制度改革(国民皆保険の維持のために)

 増大する高齢者医療費と国民皆保険の原点となる国保の赤字体質(?)をどう克服していくか、負担構造の検証なしには医療給付を賄いきれない保険者が出てしまいます。高齢社会の医療費問題は国庫負担を含めて負担できる者が相応に負担していくことが必要であり、お互いの理解とともに、予定される消費税引き上げによる財源確保、そして医療費の伸びの抑制など、わかり易くてかつ有効に機能する制度改正が求められています。

 

(注1)
平成19年~28年度までは決算、29年度は決算見込の数値である。

 

(注2)
19年度を「100」とした伸び率の推移である。

 

平成29年度   
保険料収入      8兆 843億円 (前年度比+3.02%)
  経常支出額      8兆 653億円 (同+4.41%)
    法定給付費      3兆9,218億円 (同+2.15%)
    拠出金総額      3兆5,265億円 (同+7.45%)
      後期高齢者支援金      1兆8,324億円 (同+9.10%)
      前期高齢者納付金      1兆5,942億円 (同+6.34%)
      退職者給付拠出金             999億円 (同▲3.20%)
  全組合数      1,394組合
  被保険者数   1,651万2,901人 (同+2.06%)
      短時間労働者      19万4,940人 (同+20.6%)
  被扶養者数   1,313万1,475人 (同▲0.68%)
  被保険者1人当たり平均標準報酬月額   37万 509円(同▲0.11%)
  被保険者1人当たり年間保険料            48万9,572円(同+0.94%)
  被保険者1人当たり年間保険給付費      24万2,673円
  被保険者1人当たり年間拠出金負担      21万3,560円

 

「平成29年度健保組合決算見込の概要」「平成29年度健康保険組合決算見込のポイント」(健康保険組合連合会 2018年9月25日プレスリリース)より作成
https://www.kenporen.com/press/



2018.11.8
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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