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財務省が打ち出す、医療にかかる新たな負担~2018年10月の財政制度分科会より~

財務省が打ち出す、医療にかかる新たな負担~2018年10月の財政制度分科会より~
 消費税の10%への引き上げが、2019年10月に行われることが正式に決定した。引き上げ分は社会保障の拡充に使われるわけだが、その中心は高等教育や幼児教育の無償化や保育の受け皿の前倒し整備など、若年世代に向けた施策が中心となっている。こと医療(特に高齢者にかかるもの)に関しては、引き上げ分にかかる新たな恩恵は薄いといっていい。
 一方、財務省からは、医療に関して新たな負担増が提言されている。2018年10月の財政制度分科会で示された論点から、医療にかかるテーマを2つ取り上げてみたい。

小さなリスクへの薬剤の自己負担引き上げ

 1つは、薬剤自己負担の引き上げだ。財務省提示の資料では、以下の論点がかかげられている。まず、「高額・有効な医薬品」を一定程度公的保険でカバーしつつ、(保険制度の)「持続可能性」を確保するには、「小さなリスク」への保険給付のあり方を考えていく必要があるとする。また、市販品と同一の有効成分の医薬品でも、「医療機関で処方されれば、自ら市販品を求めるよりも大幅に低い負担で入手が可能」という点を指摘。この状況を「公平性を損ね、セルフメディケーション(服薬にかかるセルフケア)の推進に逆行している」とする。そのうえで、諸外国における「薬剤の種類に応じた保険償還率の設定や一定額までの全額自己負担」といった例を紹介し、薬剤の自己負担を引き上げる施策を求めている。
 たとえば、フランスでは「抗がん剤等の代替性のない高額医薬品」の自己負担割合は0%だが、それ以外については医薬品の有効性等の評価に応じて負担割合が引き上げられている。有効性が軽度のものは85%、不十分と評価されたものは100%の自己負担となる。

少額受診にかかる患者の定額負担の導入

 2つめのテーマは、受診時定額負担の導入だ。周知のとおり、2016年4月より「紹介状なしでの大病院の受診」について、医療機関は患者に定額負担を求めることとなった。2018年度からは、対象の一つである地域医療支援病院の病床数が「500床以上」から「400床以上」へと拡大されている。こうした定額負担の導入について、別の視点からの対象拡大が提案されている。それが「少額受診」だ。
 わが国の年間外来受診回数は、OECDデータによれば韓国に次いで多い12.7回。北欧諸国やアメリカと比較して2倍近い。その多くが少額受診である点も指摘され、限られた医療資源の中で保険制度を維持する観点から、患者に対して「少額の受診に一定程度の追加負担を求めていく」というものだ。また、かかりつけ医・かかりつけ薬局への誘導も図るべく、そうした医療機関・薬局を利用した場合とそれ以外の間で「定額負担に差を設定する」という検討の必要性も示された。

財務省が示す「予防医療への疑問」との関係

 こうした「小さなリスク」にかかる薬剤や受診への自己負担を図るという流れについては、「小さなリスク段階からの予防」という視点で異論が出される場合が多い。これに対し、今回の財務省提出資料の中には、以下のような文言が登場している。それは、予防医療の必要性は認めつつも「予防医療等による医療費や介護費の節減効果は定量的に明らかではなく、一部にはむしろ増大させるとの指摘もある」というものだ。異論に対する意図的な予防線かどうかは不明だが、あえて予防医療に疑問符を投げかける文言を挿入した意味は決して小さくない。今後の医療・介護にかかる制度改革議論の中で、少なからぬ波紋が生じるテーマになるかもしれない。

参考:「財政制度分科会(平成30年10月9日開催)資料一覧」(財務省ホームページ)


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.10.25
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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