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直近(2017年度)の介護保険状況が公表~次年度予算編成に向けての課題は?~

直近(2017年度)の介護保険状況が公表~次年度予算編成に向けての課題は?~

介護保険の受給者数がマイナスに。なぜ?

 1年間に介護保険の給付を受けた人はどれくらいいるか──そうしたデータを示したのが、厚生労働省の介護給付費等実態調査だ。その直近となる2017年5月から2018年4月まで(2017年度)の調査結果が、8月30日に公表された。折しも、同日に2019年度予算の厚生労働省概算要求も出されている。これから予算編成の折衝が活発化する中で、今調査結果が介護関連の予算編成に影響を与える可能性もある。
 今回の調査で特に注目したいのは、年間受給者数が対前年度比でマイナスに転じたことだ。その減少幅は、累計受給者数で-3.0%(約185万人減)、実受給者数(1人で複数回受給した者を名寄せした人数)で-1.6%(約9万7,000人減)となっている。人口の高齢化とともに介護ニーズの高い一号被保険者数(65歳以上)は伸びているのに、1年間でこれだけ減ったというのは奇異に映るかもしれない。しかし、これには大きな政策上の理由がある。
 その政策上の理由とは、要支援1・2という軽度者への介護予防給付の内容が変わった点である。具体的には、市区町村が手がける介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)が2017年4月から全国で完全スタートとなったことだ。これにより、介護予防給付のうち、予防訪問介護(予防ホームヘルプ)と予防通所介護(予防デイサービス)、およびこの2つのサービスだけを利用する人の介護予防支援(予防プランの作成サービス)が総合事業へと完全に移行することになった(一部、要支援認定の有効期間が残っていた利用者に対しては予防給付を継続していたが、それも2018年3月末ですべて総合事業に移行)。
 実は、この予防訪問介護・予防通所介護・介護予防支援という「利用者数の多い介護給付サービス」が総合事業に移行となったことで、その受給者分が介護保険の給付から外されている。これが、今回の受給者減につながった要因となっているわけだ。ややこしいのは、総合事業の運営費も介護保険の財源でまかなわれていること。つまり、今回の調査で受給者が減ったと言っても、介護保険全体の財政が改善したわけではない。この点には注意が必要だ。

総合事業の完全実施で介護予防の効果は?

 さて、予防給付だった予防訪問介護・予防通所介護等が総合事業に移行したことで、気になるのは「介護予防(要介護状態に移行しないこと)の効果」が薄れないのかという点だ。この予防給付の一部が総合事業に移行することについては、法改正時の国会審議でも利用者ニーズに対応できるのかという懸念が示されていた。また、直近の国会では、「総合事業に移行した事業者の撤退」が約4割の自治体で認められたことも報告されている(そもそもの人材不足に加え、総合事業の新スキームに対応しきれないなどが原因とされている)。
 そうした中、今回の調査結果では、要支援1・2の人が1年間でどれだけ重度化したかというデータも示された。それによれば、要支援1で35.5%、要支援2で24.7%に重度化が認められ、対前年度比で微増となっている。また、要支援2が1になったという「改善」傾向は、対前年度比で3ポイント近くマイナスとなった。利用者の重度化が進めば、当然介護保険財政の圧迫につながる。財政改善を目指した仕掛けが、重度化の抑制につながらないという分析に至れば、介護にかかる来年度予算にも波紋を投げかけるかもしれない。


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.8.30
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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