保険セールスのための情報サイト

検索ボタン
 >  > 2040年までに健康寿命を3年延ばせ~国が目指す新たな予防・健康づくり~

2040年までに健康寿命を3年延ばせ~国が目指す新たな予防・健康づくり~

2040年までに健康寿命を3年延ばせ~国が目指す新たな予防・健康づくり~

85歳以上の人口が伸び行く中で何が起こるか?

 わが国の人口の将来推計では、75歳以上の伸びは2025年でひと段落する。この年に団塊世代が全員75歳以上を迎えることによるものだ。その後に何が訪れるかといえば、当然ながら85歳以上の人口が伸びていく。そして、2040年には75~84歳と85歳以上の人口の割合がほぼ1対1となる。
 国民生活基礎調査(2016年度)によれば、生活機能の低下によって「日常生活に制限」が生じる者の割合は、75~79歳で26%に対し、85歳以上では46%に跳ね上がる。人口推計及び介護保険事業状況報告月報(2015年11月分)によれば、要介護認定率に至っては、前者が14%に対して後者は59%と4倍近くになるという統計もある。先の2040年の状況を考えれば、高齢者にかかる医療・介護ニーズが、いかに国の財政へと重くのしかかるかは容易に想像できるだろう。
 こうした状況を見すえ、厚生労働省が打ち出したのが「2040年までに健康寿命を3年以上延伸させ、平均寿命との差の縮小を目指す」(経済財政諮問会議での厚生労働大臣提出資料より)という戦略だ。アプローチとしては、「健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進」と「地域間の健康寿命格差の解消」という2本柱が掲げられている。その2本柱に沿った重点的な取組み分野の中に、高齢者を対象とした「介護予防と保健事業の一体的実施」による「介護・フレイル予防」が上がっている。
 「フレイル」とは、「加齢とともに運動機能や認知機能等が低下しているが、適切な介入・支援により生活機能の維持・向上が可能な状態」を指す。いわば、健康な状態と介護等のサポートが必要な状態の中間像といえる。

介護予防と保健事業を一体化して効率をアップ

 では、この介護・フレイル予防を進めるための「介護予防と保健事業の一体的実施」とはどういうことか。実は、この2つは似ているが実施主体や対象、財源が微妙に異なる。
 介護予防は、介護保険の財源によって市区町村が手がける地域支援事業の一環(一般介護予防という)である。対象は65歳以上(介護保険の一号被保険者)で、要介護認定などを必要とせずに参加できる。たとえば、地域で通いの場を設け、そこで簡単な運動・体操や趣味活動を行うというもの。高齢者に生じがちな閉じこもりを防ぎつつ、身体を動かす習慣づくりや社交性の維持を図るわけだ。だが、2016年度で参加率は65歳以上の4.2%と低く、フレイル対策を含めたプログラムの質には地域ごとの差が大きいことが指摘されている。
 一方、保健事業は医療保険の財源を使った健診のほか、国庫補助による「高齢者の低栄養防止・重度化予防等の推進」にかかる事業などがある。後者については、後期高齢者医療広域連合が主体となって保健師、管理栄養士、歯科衛生士などがフレイル予防にかかる相談を受けたり、訪問指導を行うというものだ。先の介護予防に比べると、専門職が重点的にかかわる分、フレイル対策に向けた質は期待できる。だが、こちらも実施事業数は2017年度で108にとどまっている。
 この両者を一体化させるというのは、たとえば、介護予防の通いの場にフレイル予防に資する専門職を派遣し、プログラムの拡充を図るという具合だ。逆に、医療機関を受診している高齢者に対して医師などの専門職から「通いの場」への参加を促し、参加率を上げるという連携効果も期待できる。問題は、財源の調整をどうするか。従来の保健事業を介護保険での運営事業に組み込むとなれば、40歳以上が負担する介護保険料の引き上げにつながる可能性もある。政府は3年後の介護保険制度等見直しでの実現を狙っているが、この財源問題が今後の議論の中心となりそうだ。

参考:高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について(厚生労働省HP)


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.8.30
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

関連記事

ケアマネジャー受験者6割減の衝撃 ~急減少の背景と地域の介護確保への懸念~

ケアマネジャー受験者6割減の衝撃 ~急減少の背景と地域の介護確保への懸念~

介護離職ゼロのために企業ができること

介護離職ゼロのために企業ができること

国民皆保険の維持に向けて ~平成29年度健保組合決算見込の概要~

国民皆保険の維持に向けて ~平成29年度健保組合決算見込の概要~

今、注目されつつある「ボランティア休暇」

今、注目されつつある「ボランティア休暇」

ランキング

FPSクラブ

おすすめ