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依然として厳しい「介護離職者」の動向 ~2017年就業構造基本調査より~

依然として厳しい「介護離職者」の動向 ~2017年就業構造基本調査より~

「介護離職ゼロ」施策の効果はどうなった?

 2018年7月13日、総務省統計局が2017年の就業構造基本調査の結果を公表した。これは、5年ごとに国民の就業状況等を調査したもので、今回は2017年10月1日時点での調査結果となる。その中から特に注目度の高い項目を紹介したい。それが「家族の介護・看護を理由に離職した者」の状況、つまり「介護離職」にかかるデータである。
 介護離職といえば、年間10万人を超えるという数字が毎回大きな施策課題としてクローズアップされてきた。この状況を改善するべく、現政権では2015年11月に「介護離職ゼロを目指す」ことをスローガンとした緊急対策を取りまとめた。また、その後の「ニッポン一億総活躍プラン」でも柱の一つとして打ち出している。具体的な対策としては、①2020年代初頭までに約10万人分の在宅・施設サービスの前倒し・上乗せ整備、②介護人材確保の加速(2015年補正・2016年予算で約180億円)、③仕事と介護の両立支援策の推進(中小企業における「介護支援プラン」の策定支援)などがある。なお、今回の調査時点でのタイミングで、介護休業等を取得しやすくする法改正なども行われている。

年間の介護離職者数。10万人は割ったが……

 こうした施策により、状況は改善されたのかどうか。結果からいえば、2016年10月から2017年9月までの1年間で、介護離職者は9万9,000人。5年前(2012年)と比較して2,000人の減少にとどまっている。確かに年間10万人という大台を割り、「離職後」の無業者は8,000人ほど減っている。だが、「家族の介護をしながら現職を続けること」の難しさは依然として根強い。「介護離職ゼロを目指す」とした強いスローガンに照らせば、一筋縄ではいかない課題であることは明白だろう。
 ちなみに、今回の調査では介護休業等の取得率がどうなったかというデータもある。5年前の2012年調査では、「介護をしている雇用者」のうち「介護休業等の利用あり」という者は15.7%だった。これに対し、今回の調査では「介護をしている有業者」のうち「介護休業等の利用あり」という割合は7.5%となっている。「雇用者」と「有業者」という具合に母数の概念が変わっているので一概に比較はできないが、こちらも芳しくはない数字といえる。すでに述べたとおり、介護休業等の制度が変わった(介護休業の分割取得が可能になったなど)のが2017年10月なので、今回の調査では施策効果は反映されていない。このあたりは、5年に1度という調査サイクルにかかわらず追跡調査が望まれるところだ。

男女別の介護離職者の状況変化にも注意

 ところで、今回の調査では「介護離職者の男女別の傾向」の変化も注目される。具体的には、女性は約6,000人の減少を示す一方、男性は逆に4,000人ほど増えている点だ。総数的には、依然として女性は男性の3倍超という数字だが、「主に家族の介護を担っているのは誰か」という点で、少しずつ変動が生じている可能性がある。たとえば、自分の親の介護は「配偶者に任せる」という傾向が薄れてきたという社会状況が考えられる。また、就業者の高年齢化が進む中で、「自身の配偶者の介護」が課題となるケースの増加も、男女差の縮小要因となっているのかもしれない。
 いずれにしても、今回の調査をたたき台として、追加的施策をどのように打ち出していくかが問われる。来年度予算の編成などへの影響にも注視が必要だろう。

参考:総務省統計局 平成29年就業構造基本調査の結果


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.7.26
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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