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高齢者の医薬品適正使用に新たな指針

高齢者の医薬品適正使用に新たな指針

75歳以上で大きな課題となる多剤服用

 2年後の2020年には、75歳以上の人口は1,900万人に近づくと推計されている。2000年は901万人だったので、わずか20年で倍増するという計算だ。その75歳以上で、療養上の課題として指摘されるのが、服薬数の上昇である。2016年の社会医療診療行為別統計によれば、同一の保険薬局で調剤された1か月あたりの薬剤種類数が7種類以上という人の割合は、75歳以上では24.8%にのぼる。65~74歳以上では13.6%なので、その約1.8倍となる。
 高年齢層における多剤服用は、加齢にともなう生理的な変化によって、異なる薬物同士での相互作用が起こりやすい。たとえば、特定の薬を併用することにより、その効き目が強く出過ぎてしまったり、逆に効き目を弱めてしまうというケースもある。この多剤服用による有害事象をポリファーマシーといい、近年その是正が求められている。
 難しいのは、現在までポリファーマシーの改善のための系統的な減薬手順が確立されていないことだ。機械的に薬剤を減らすことは、かえって病状を悪化させるなどのリスクもある。また、薬剤の変更や代替薬の使用によって別の有害事象が生じることもある。

指針に示された多職種協働というポイント

 いずれにしても慎重な経過観察が必要となり、看護師だけでなく多様な専門職による的確な情報共有が求められる。こうした中、厚生労働省は2017年4月に「高齢者医薬品適正使用検討会」を設置、高齢者の多剤服用対策の検討を進めてきた。その議論の取りまとめとなる指針が、2018年5月に示されている。
 主な内容としては、高齢患者に対する薬剤処方の見直しプロセスや適正化のためのフローチャートに始まり、処方見直しのタイミングや留意事項などが整理されている。そのうえで、当該患者に対する服薬支援の進め方や、具体的な支援に向けて地域の多様な職種の協働についても踏み込んでいるのが特徴だ。
 服薬支援を受ける側としては、医師、看護師、薬剤師以外の多職種(たとえば介護職など)まで含めた協働体制というのは、まだイメージがわきにくいかもしれない。だが、すでに2018年4月からの介護保険制度(報酬や運営基準)の変更でも、上記の協働を進めるしくみが具体化されている。

介護保険でも、多剤服用対策がスタート

 たとえば、介護保険施設である介護老人保健施設において、かかりつけ医連携薬剤調整加算というものが誕生した。これは、4週間以上にわたり6種類以上の内服薬が処方されている入所者について、施設側とかかりつけ医との間で処方方針について合意したうえで、両者の協働による減薬に向けた取組みを評価するというものだ。
 また、在宅の介護保険利用者を担当するケアマネジャーには、ヘルパー等のサービス提供者から得た利用者の心身の状況などにかかる情報を、必要に応じてかかりつけの医師や薬剤師に提供する義務が定められた。運営基準で示された情報内容の例を見ると、「薬が大量に余っている、または複数回分の薬を一度に服用している」、「(本人が)薬の服用を拒絶している」、「使い切らないうちに新たに薬が処方されている」といった、不適切な薬剤服用にかかるものが目立つ。つまり、ポリファーマシーの発見につながる重要な機会の一つであると位置づけられたことになる。
 高齢で医療と介護をともに受ける場合、これからは専門職による服薬指導・チェックの機会が増えることを頭に入れ、患者自身の自己管理力を高めることも必要になりそうだ。

参考:「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)について」の通知発出について(厚生労働省HP)


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.6.14
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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