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認知症の人の意思決定をどう尊重するか? ~国によるガイドライン策定など進む施策~

認知症の人の意思決定をどう尊重するか? ~国によるガイドライン策定など進む施策~

本人の意思確認のための標準的プロセス

 厚生労働省が、新たなガイドライン案を策定し、それに対する一般からの意見募集を行った(意見募集は2018年5月21日に締め切られた)。新ガイドラインのテーマは、「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援」について。その名のとおり、認知症の人の意思をていねいにくみ取るために、それを支援する人々の標準的なプロセスや留意点を定めたものだ。団塊世代が全員75歳以上を迎える2025年には、認知症高齢者が700万人を超えるという推計もある中、支援にかかわる専門職のみならず、家族や成年後見人、友人など、地域で認知症の人に接する人々すべてを対象にしたガイドラインである。
 認知症というと、記憶障害や判断力の低下、時間や場所などの見当識の衰えなどが主な症状となる。だが、症状が相当に進んだ場合でも、その人なりに「現実との折り合い」をつけようとする意思は残っている。生きている限り、その人の「意思」は厳然として存在しているわけだ。ただ、それがうまく表出できなかったり、現実との折り合いがうまくつかないゆえに、「生活のしづらさ」に結びついてしまう。その部分を周囲の支援者がサポートする中で、「その人らしさ」を実現するために「本人の意思を尊重する」ことが必要となる。そのためのガイドラインと考えればいいだろう。

 

本⼈の意思の尊重、意思決定能⼒への配慮、早期からの継続支援

 

 具体的には、本人の意思表出が難しい場合、身ぶりや手ぶり、表情の変化なども読み取りながら、本人の意思を読み取っていくといった「意思決定に至るまでの流れ」などが示されている。また、本人が安心して支援者への意思表出ができるような環境づくり(人間関係づくりなども含む)について、あるいは、意思確認が難しい場合の推定や選好(選択肢を提示して選んでもらうこと)を行う場合に配慮すべき点などにもふれている。ガイドラインの巻末には、上記のような点をふまえたうえでの具体事例なども掲載されている。


成年後見制度を巡る課題から生まれたガイドライン

 そもそも、このガイドラインは、2016年5月に施行された「成年後見制度の利用の促進にかかる法律」にもとづく成年後見制度利用促進委員会(内閣府・2018年4月に廃止)において発案されたものだ。成年後見制度は認知症高齢者等の権利擁護の要のしくみとして、2000年4月から導入されている。だが、2015年12月末時点で活用ケースは累計約19万件。認知症高齢者が500万人に達する時代に1割に達していない。それは「財産管理の面のみが重視されて、本人の意思をていねいにくみとって生活を守り、権利を擁護していくという視点が不十分だからではないか」という指摘が上記の委員会でもなされている。つまり、本人目線を重視することが制度普及・活用の課題とされ、そのための指針づくりが目指されたわけだ。
 ちなみに、厚生労働省は「認知症の人同士が集まって本音を語り合い、その意見を地域づくりや施策に活かす」という取組みもうながしている。これを「本人ミーティング」といい、先行して始まった10の自治体事例も示されている。認知症の人への支援策も、家族だけでなく「本人目線」を取り込むことが基本という時代が訪れつつあるわけだ。認知症になっても「誰かに管理される」のではなく、自分らしく生きるための主体的な意思は尊重される──この安心感はやがて訪れる「認知症高齢者700万人時代」の軸となるだろう。

参考:認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(案)に関する意見募集について(電子政府の総合窓口 パブリックコメント)



(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.5.31
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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