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「お世話型」介護、縮小の時代へ!? ~訪問介護の生活援助をとりまく動き~

「お世話型」介護、縮小の時代へ!? ~訪問介護の生活援助をとりまく動き~

生活援助の人員が緩和、報酬は引き下げ

 介護保険で受給権者の約3割に提供されているサービスが「訪問介護」だ。そのうち、身体的な介助ではなく、調理や掃除、洗濯、買物などの家事をサポートするのを「生活援助」という。この「生活援助」サービスが、2018年4月からの介護保険制度(介護報酬)の見直しで、縮小される可能性が高まっている。
 まず、訪問介護事業者に支払われる給付費(報酬)だが、身体介護(利用者の生活行為などを介助するもの)が一部を除いて引き上げとなったのに対し、生活援助はわずかながら引き下げとなった。また、この生活援助を手がけるホームヘルパー(以下、ヘルパーという)の要件も緩和されている。
 訪問介護を手がけるヘルパーの場合、これまでは最低でも130時間の介護職員初任者研修を受けることが必要だった。これが、4月から導入された59時間の専門研修(生活援助従事者研修)を修了すれば、サービス提供がOKとなった。介護職員初任者研修と比較すれば、半分以下の研修時間で済む。これは、介護人材不足が恒常化する中で、「人材のすそ野」を広げることを目的とした施策だ。全体を見れば、人材要件を緩和したことで報酬も引き下げになったという見方もできる。
 だが、事業者としては、「新たな人材」を使う場合に「緊急時の対応や事業所との連絡方法」などについて独自の内部研修などが欠かせない。当然、一定期間は従来の人材を「生活援助」に向けざるを得ないケースも増えるが、そうなると人件費コストを維持するには相応の収益減を見込まなければならない。

10月から生活援助の頻回訪問にも新規制

 加えて、2018年10月からは、生活援助にかかるもう一つの見直しが行われる。それが、生活援助の頻回訪問にかかるチェック強化だ。具体的には、一定以上の訪問頻度の生活援助を提供した場合、そのサービスを位置づけたケアプランを市区町村に提出しなければならないというものだ。その基準は、「全国平均+2標準偏差」とされる。たとえば、要介護2の人については、1月34回以上となる。
 「1日1回以上」というのは確かに多いイメージがあるが、要介護2でも周囲の見守りが必要な認知症の人は約7割に達している。「見守りならボランティアでもできる」と言われることもある。だが、認知症対応に関して一定スキルのある人材が、認知症の人の症状にも影響を与える「環境整備」を同時に手がけられるとなれば、生活援助の頻回訪問も一律に無駄とは言い切れないという声もある。

生活援助を身体介護に切り替える流れも?

 こうしたさまざまな逆風が生活援助に対して吹く中、事業者に向けた一つの通知改正が注目されている。それは、身体介護の具体的内容を規定した通知の中で、「自立生活支援のための見守り的援助」の部分をより明確にしようというものだ。この「自立生活支援のための見守り的援助」では、ヘルパーが見守りをしながら「家事行為を利用者と一緒に行う」という旨が示されている。つまり、一つの家事行為(調理や掃除、洗濯など)の流れの中で、利用者が「できる部分(例.洗濯であれば「取り込んだ洗濯物をいっしょにたたむ」など)」を「自分でしてもらう」ことになる。言い換えれば、自立支援に資する形でヘルパーと利用者が家事にかかる共同作業を行うわけだ。
 身体介護の方が報酬高という現状の中、この通知の明確化により、従来は生活援助で提供されていたサービスを身体介護へと切り替えるケースが増えるかもしれない。利用者として、心得ておきたいポイントの一つだろう。

参考:平成30年度介護報酬改定の主な事項について(厚生労働省HP)


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.4.26
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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