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厚生労働省の2018年度予算案固まる。介護分野は?

厚生労働省の2018年度予算案固まる。介護分野は?

社会保障費の中でも「介護」の伸びが突出

 2017年末、2018年度予算案が閣議決定された。厚生労働省(以下、厚労省)予算案の一般会計のうち、社会保障関係費(内閣府計上の子育て支援関連予算を除く)は30兆7,073億円で、対前年度比4,590億円(1.5%)となっている。概算要求時の「高齢化等に伴う増加額」が6,300億円であった点を考慮すると、骨太方針による抑制が相応にきいた予算編成となっている。実際、社会保障費の中で38%以上を占める「医療」の伸び率は0.3%に抑えられている。
 一方、「人口の高齢化」というトレンドの中で、介護費の伸び率が3.4%と突出している。社会保障費全体に占める介護費の比率は1割程度に過ぎないが、増加額が1,000億円強と医療分野の2.5倍となっている点を見ても、社会保障の重点が医療から介護へとシフトしつつある状況がうかがい知れる。では、介護施策を仕切る厚労省の老健局分の予算編成が具体的にどうなっているのかを見てみよう。
 まず、介護保険事業の収入源となる介護報酬の改定率は+0.54%と2期(6年)ぶりのプラス改定となり、予算枠での費用総額も対前年度比で750億円増となった。ただし、介護報酬全体の改定方針は「重度者対応」や「自立支援強化」などへの重点化傾向が強まっており、すべての介護保険事業者が一律に恩恵を受けるわけではない点に注意が必要だ。
 たとえば、急性期の「医療」から在宅・施設での「療養介護」への流れが加速する中で、介護サービスの中でも医療系(訪問看護や新設された介護医療院など)に重点化の比重がかかりやすくなっている。また、医療保険による高齢者のリハビリ上限日数の適用が厳しくなる中、医療法人が運営するリハビリ事業も介護保険へとシフトする傾向が強まっている。先に、社会保障費のうちの「医療」の伸びが抑制されている旨を述べたが、実質的には「医療」から「介護」への付け替えが進むという可能性を頭に入れる必要があるだろう。

高齢者の自立支援・重度化防止への重点化

 さて、老健局分の予算編成で、規模の大きい新規予算として注目されるのが、「保険者機能強化推進交付金の創設」(200億円)だ。具体的には、「市町村や都道府県における高齢者の自立支援・重度化防止等に関する取組みを推進するための交付金を創設する」というものであり、2017年に改正された介護保険法で新たに位置づけられたしくみである。分かりやすく言えば、地域の高齢者が要介護状態にならないような施策を展開し、その実績をあげた自治体に対して交付金によるインセンティブを付与するというもの。そのための予算枠が新たに設けられたことになる。
 また、科学的に自立支援等の効果が裏付けられた介護を実現するためのデータベースの構築に対して、これも新規で2.7億円の予算が投じられている。先の自立支援・重度化防止に向けた自治体担当者の集中研修などについても、対前年度比で1,000万円の上積みがほどこされている。一方で、介護保険事業者に関しては、「生産性向上」(業務の効率化など)を目指すための調査研究やガイドラインの作成・普及啓発などにかかる新規予算が3.2億円という規模で設定されている。
 こうして見ると、介護サービスの拡充とはいえ、「利用者をいかに重度化させないか、その方向に向けて介護業務をいかに効率化するか」という傾向が際立つ予算編成と言えるだろう。利用者側としても、これまでの(お世話を受けるという)介護サービスとは少しずつ中身が異なってくる点に注意が必要だ。

参考:平成30年度厚生労働省所管予算案関係


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2018.1.25
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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