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2017年度介護事業経営実態調査の結果公表

2017年度介護事業経営実態調査の結果公表

介護サービス全体の平均収支差率は中小企業を上回る

 厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会で、2018年度から適用される新しい介護報酬の議論が続いている。介護人材の不足が社会問題となる中で、介護ニーズに必要な基盤が維持できるのかどうかを見定めるうえでも、介護報酬のあり方は重要なテーマといえる。
 その介護給付費分科会で、介護報酬の方向性に大きな影響を与えるデータが提示された。それが介護事業所・施設の経営実態を調査したものだ(17年度介護事業経営実態調査)。ベースとなる数字は、16年度の事業所・施設の決算であり、その前年度(15年度)との比較なども示されている。マイナス改定となった15年度改定から2年が経過した段階での数字であり、介護業界にじわじわと厳しさが浸透しつつある状況が浮かんでいる。
 介護業界の経営実態を把握するうえで、軸となる数字がサービスごとの収支差率だ。ここで言う収支差率とは、介護事業の収益額からサービス提供にかかった費用(支出額、借入金利息等含む)を差し引き、その数字が収益全体でどれだけの割合となるかを示したもの。収支差率がマイナスになるということは、収益額よりも支出額が多いことを示し、それだけ経営状況が厳しいことを表わす。
 結果からいえば、介護サービス全体の平均収支差率は3.3%で、対前年度(15年度決算)比で0.5ポイント低下しているものの、財務省が提示している中小企業全体の平均2.6%を上回っている。また、22種類のサービスの中で、中小企業平均の2.6%を下回っているのは6サービスのみ。さらに、介護保険受給者の約3割が利用している訪問介護、通所介護という主流サービスでは、前者で4.8%、後者で4.9%と高い収支差率を示している。

事業規模によっては経営状況に格差も

 この数字だけを見るならば、「介護保険事業の多くは儲かっている」となり、介護報酬引き下げの根拠となりうる。ただし、注意したい点もある。例えば、先の訪問介護、通所介護でいえば、平均の収支差率は高いものの、分布を見ると、どちらも4割前後がマイナスの収支差率を記録している。なお、小規模な通所介護は16年度から地域密着型通所介護に移っているが、こちらの平均収支差率は2.0%と低い。つまり、事業規模等によって経営状況に格差が生じているという仮説も浮上する。
 また、要介護者にとって「終の住処」として関心の高い特別養護老人ホームは、収支差率が1.3%(対前年度比でマイナス0.9ポイント)と厳しい数字になっている。多様な要因で収支差率に格差が生じるのは、市場経済なら当然だが、社会保険事業でこうした状況が容認されるかとなれば問題も出てくるだろう。
 もう一つ注意しなければならないのは、老人保健施設や通所リハビリ、訪問看護など主に医療法人が運営するサービスや看護系サービスの収支差率が対前年度比でプラスとなっていること。また、6年間の期限付きで廃止が決まっている介護療養型医療施設の収支差率は、特養ホームの倍となる3.3%を記録していることだ。
 こうして見ると、介護保険が、医療・看護ニーズの高い利用者向けに少しずつ特化されつつある傾向も見てとれる。18年度からは医療保険の一般病床からの転換も想定される介護医療院も誕生する中、どのあたりで介護報酬が優遇されるのかという点に注意が必要だ。

参考:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000182777.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000182778.pdf


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2017.11.9
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

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