保険セールスのための情報サイト

検索ボタン
 >  > 厳しくなる介護者状況~平成28年国民生活基礎調査より~

厳しくなる介護者状況~平成28年国民生活基礎調査より~

厳しくなる介護者状況~平成28年国民生活基礎調査より~

介護が必要になった原因「認知症」がトップに

 6月27日、厚生労働省が「平成28年国民生活基礎調査」の結果を公表した。この調査は、保健、医療、福祉、年金など国民生活に影響を与える基礎的事項を調べるものだ。この中に、「介護の状況」を調査した項目がある。国民生活基礎調査自体は毎年実施されるが、この「介護の状況」については3年ごとの調査となっている。前回は平成25年に実施されたわけだが、着目したいのは、今回の平成28年調査が「団塊世代が平成27年に全員65歳以上(介護保険の第1号被保険者)」となってから初の実施となることだ。3年前と比較して何が変わったのか、また、長期的にどのような傾向が見て取れるのかをチェックしたい。
 まず、要介護者のいる世帯の状況を見てみよう。介護保険制度スタート直後(平成13年)からの推移でみると、「単独世帯」(28.9%)、「夫婦のみの世帯」(21.9%)の割合がともに過去最高となり、両世帯の合計が初めて5割を超えた。加えて、「要介護者(および要支援者)」と「同居の主な介護者」の年齢の組み合わせを見ると、「65歳以上」が54.7%、「75歳以上」も30.2%に達し、この数字も過去最高となった。つまり、介護が必要な人がいる世帯では、「介護者がいない」か、「いる」場合でも「高齢の配偶者」に頼らざるを得ないのが完全に主流になったということだ。なお、要介護者がいる世帯では、「夫婦のみ世帯」以外の「核家族世帯」も過去最高となっており、たとえば「要介護の親を高齢単身者である子供が介護する」という状況も目立ちつつある。
 こうした状況に加えて気になるのが、家族に介護が必要になった「主な原因」だ。過去の調査でもっとも多かったのは「脳血管疾患(脳卒中)」によるものだったが、今回は初めて「認知症」がトップとなった。全体の割合でみると、前回・前々回調査では15%台だったのに対し、今回は18%台と急伸している。これについては、単純に高齢者人口の増加にともなって認知症の発症者が増えたこともあるだろう。一方で、認知症に対する一般の理解が広がったことにより、早期診断の進ちょくから「認知症が原因」という確定がなされやすくなったことも考えられる。とはいえ、先だって公表されたもう一つのデータを見ると、やはり認知症者の絶対数の増加を視野に入れておかなければならない。

認知症が原因の行方不明者も急増

 そのもう一つのデータとは、警察庁が発表した「平成28年における行方不明者の状況」だ。これによれば、(警察による届出が受理されたことを要件とする)行方不明者全体のうち、「認知症が原因」とされる人が年間1万5,000人を超えた。「認知症」を原因・動機統計に含めたのは平成24年からだが、平成26年までは1万人前後で推移していたのが、27年に1万2,000人、そして今回の1万5,000人超えと、ここ数年で急増する気配を見せている。
 いずれにしても、高齢者人口の増加にともなって「認知症の人」が増え、同時に「主たる介護者の高齢化(あるいは不在)」という状況が進めば、地域で要介護者を支えるための資源の拡充はますます急務となる。たとえば、家族の目が行き届きにくくなる中で、認知症の人が行方不明になったとき、自治会、介護事業者、行政、警察、公共交通機関などが密接に連携したネットワーク機能が欠かせない。身近な地域で、こうしたネットワークが整備されているかどうかを、日頃から確認しておくことが必要になるだろう。


(田中 元 介護福祉ジャーナリスト)
2017.7.13
(出典:FPS-net http://www.fps-net.com/

関連記事

平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果

平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果

労働力人口総数に占める女性割合、過去最高の43.7%

労働力人口総数に占める女性割合、過去最高の43.7%

高齢男性の「妻」への家事依存が健康課題!? ~2017年国民健康・栄養調査の結果より~

高齢男性の「妻」への家事依存が健康課題!? ~2017年国民健康・栄養調査の結果より~

火災死亡の約7割が高齢者。電気器具からの出火にも注意!

火災死亡の約7割が高齢者。電気器具からの出火にも注意!

ランキング

FPSクラブ

おすすめ